【ハード・デイズに見えない煌めき】
機会あって、多分、うん十年前のリバイバル上映以来、劇場にて。
ビートルズという別次元に飛べる、4人組悪戯っ子の悪戯に付き合ってあげて、その別次元にぶっ飛ばしてもらう映画。でも4人組はふだん、見えない檻に囲まれ窮屈っていうね。
ジャーン!と始まるタイトルが、こんなに小さく、洒落たタイポグラフィだったのかと驚く。ラバーソウルのジャケみたいにサイケなやつ、と思い込んでいた。ファンから逃げまくるアホな狂乱の邪魔をせず、始まりを品よく締めている。
で、ジョージはやっぱり、転んでる!今度こそ転ばないかと思ったのに!(爆笑)
物語らしきものは、“リンゴいじり”程度ね。損にも見える役だけど、やっぱり彼が一番、役者向きだからこうなったのでは。実際、後で役者デビューするし。演技巧いかは別にして。
あとは、テンション数珠つなぎ。
ポールのじいちゃんは、ナンデ出てきたのか最後まで謎だった。最後、ジョージにチョー乱暴に退場させられ可哀想(笑)。でも、彼の存在って、ビートルズに呑まれないための、映画側からのささやかな抵抗にも思えた。
しょーもない落書きが続くが、演奏シーンとなると、ホント、別次元、別宇宙だ!型にはまった正規のライブより、話の途中でセッションに移行する方が、自然だし心、打たれます。どこで聞いてもやっぱり、ビートルズはスゴイと実感する。
狭苦しい貨物車で始まるライブなんて大好き。静かに聞き入るOLさんたち?もステキ!
ハード・デイズだった4人組を、とにかくはしゃがせるのが、おそらく演出プランだったと思いますが大成功だったのでは?映画がよいガス抜きになっている様が伺えます。マネジャーの目を盗み、広場で炸裂するあの“セッション”、こっちの心も開放されてしまう。
推しメンは、私はジョンで、彼の志村っぷりにとにかく、萌えます!アイ〜ンの元ネタとしか思えない顔とか、するしなあ。この歳ですでに、いかにも英国オッサン顔なのもステキ。
エンドロールの写真群は、マッシュルームカットの仕掛け女子、アストリッド・キルヒャーが撮ったもの?撮影は別人だとしても、あのスタイルは彼女が生んだものでしたね。
で、やっぱりコレ、レスター監督が撮った英国映画だなあ、としみじみしたのでした。
<2022.6.22記>