ぎー

ラスト サムライのぎーのレビュー・感想・評価

ラスト サムライ(2003年製作の映画)
3.5
【エドワード・ズウィック特集1作品目】
「それならば敵の刀によって死のう。ともに、天皇にそなたの声を聞かせるのだ。」
・ところどころツッコミどころはあるけど許容範囲。
・『沈黙』や『硫黄島からの手紙』ほどではないけど、ハリウッドの超大作なのにかなり意欲的に忠実に日本らしさを表現しようとしてくれたと思う。
・むしろ外人が日本らしいと考えそうな要素を最大限拡張して表現してくれていて、日本らしい良さを海外に発信する上では最高の作品になっているのでは。
・世界的に大ヒットしたのも納得。
・少し上映時間が長い気はしたけど、日本らしい静かな魅力を伝えるには必要だったのかもしれない。
・トム・クルーズの和装はとにかく格好良いし、日本文化や日本人の精神に寄り添おうとしてくれて、日本語も学ぼうとする姿勢には愛しさしか感じない。
・渡辺謙はオスカーにノミネートされたけど、ハマり役だったね。海外から見ると渡辺謙の雰囲気ってザ・日本人って感じで良かったのかな。
・誰よりも小雪が活躍してた。あんまり取り立ててファンってわけじゃなかったけど、この映画の小雪の色気は凄いし、美しすぎる。トム・クルーズとの関係性は見ていてドキドキしちゃった。
・子役の池松壮亮は本当にイケメンだった。
・エキストラとかも含めて、カタコトの日本人じゃなくって、きちんとした日本人を起用してくれていて、凄い好感が持てた。
・日本人の僕らが見ても、山野や季節の移ろいに感動できる、芸術的にも素晴らしい作品だった。

⭐︎1番印象に残っているシーンは、壁があったオールグレンと、ヒロインのたかや勝元の息子の信忠達が心を通わせる場面。ただでさえ綺麗な風景の中で、本当に心の綺麗な者同士が混じり合う、美しい場面だった。言語や文化など、壁はあっても越えられないものなんてないんだと、そう思った。

・よくある設定とはいえ、たしかに上官の命令で無抵抗の人々を惨殺したら精神病むよね。インディアン虐殺したオールグレンがアルコール中毒になっちゃう気持ち分からなくもないな。
・大村はあの大村をモデルにしてるのかな。分かりやすく悪者にされてて可哀想な気もしたけど。
・勝元率いる侍達は一切鉄砲等を用いない。侍精神は重要だけど、その精神を保ちつつも新しい技術を取り入れていくことも重要だよね。
・僕達もオールグレンの視点で日本の原風景を客観視する。その精神世界も、実際の風景もとても綺麗で感銘を受ける。
・いきなりオールグレンが村に打ち解けるのではなく、ゆったりとした時間の中で徐々に打ち解けていく様子を丁寧に描いてくれるからこそ、僕らも自然に感情移入することができる。
・忍者が村を襲撃するクダリは流石に時代考証的にあり得ないけど、ご愛嬌かな。
・天皇陛下との距離感が非常に近いのが気になるけど、確かにスケット外国人の地位は相当高かったようだし、西郷隆盛と天皇陛下も普通に会話できる間柄だったようだから、そこまで違和感を感じるほどのことでもないかと。
・廃刀令をまるで悪法のように扱うのはあまりにも一面的と思ったけど、分かりやすさのためにはしょうがないか。
・これまでの人生に後悔を抱えながら生きてきたオールグレンが正しく生きることを決意し、勝元の命を助ける流れはとっても綺麗だった。
・最終決戦はなかなかの迫力。『ブレイブハート』の戦闘シーンを思い出した。全く恐れることなく散っていく侍達の生き様は本当に美しい。
・勝元の死に敵であった政府軍も敬意を示す場面は、分かりやすすぎるとはいえ、心に響いた。外国の方々も感じるところがあるのでは。
・天皇陛下がオールグレンと会い、内容もよくわからない条約を破棄するのは蛇足だった気もするけど、皆の記憶の中で勝元が行き続ける結末は良かったと思う。
ぎー

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