ちろる

サイダーハウス・ルールのちろるのレビュー・感想・評価

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)
3.9
愛してくれるこの土地と、育ての親たちを捨てても試してみたい人生がある。
主人公の育ての親、ラーチ医師を演じたマイケル ケインがずっと泣かせてくるからどうにかしてほしい。
あの温かくて包容力があって優しい声がこの作品を包んでくれて、子供たちの豊かな心を育む。
1番とか2番とかそんな順位をつけちゃいけなのだろうけど、自分の意志を継いでくれる予感のあるホーマーをほんとうの息子以上に大切に思っていたから、さぞかし彼が旅立つ日は身体の半分が引き裂かれるような思いだっただろう。

でも、やはり父がわりのラーチ先生の期待、自分を慕ってくれる孤児院の子供たちの愛に包まれた生活以外を体験したかったホーマーの気持ちはものすごいわかる。
この冒険心もある意味ラーチ先生を始めとして豊かな想像力を育んでくれたこの場所のおかげだったのでしょうね。
前半はほのぼの孤児院パート
後半は少し切ない大人のラブストーリーパートと別れていたのだけど、
後半は先に観てしまった同監督の「親愛なるきみへ」のベースのような要素もあって更に複雑な気持ちに。
「土地に縛られる」ことや「義理」というものたちにほんとうの気持ちはなかなか打ち勝てない人間の姿を共感させるのが、この監督はとてもうまいなぁと改めて思う。
童顔ゆえなのか、なかなか最近最新作で見受けられないトビー マグワイアのある意味1番美しい時期を堪能できる作品でもあります。
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