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サイダーハウス・ルールのRIOのレビュー・感想・評価

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)
4.3
1943年、メイン州ニューイングランド。出生時より孤児院で暮らす青年・ホーマーは、同院の医師・ラーチに息子のように育てられ、同時に望まない妊娠をした女性達を助けるための医療を教わっていた。子供達にも慕われていた優秀なホーマーだったが、ある日中絶のため訪れたウォリー少尉とキャンディという若いカップルと共に施設を去り、新しい世界へ旅立つことを決意した。

何を勘違いしたかずっとサスペンスものだと思い込んでいたのですが(?)、静かで厳かながら心温まるヒューマンドラマでした。
第二次世界大戦中の孤児院や黒人労働者が働く果樹園を舞台に、人間が抱える問題をいくつも散りばめたような、なんとも考えさせられる内容。いつだって無意味に騒いで文句をつけたり理解のない規則を作るのは外野で、信じるべき物や本当の愛は灯台下暗し、物事の本質を見誤るべきではないなと改めて痛感させられました。
派手な演出はないものの、その分厳かな空気が胸に迫る作品で、そんな中に光る素晴らしい仕掛けには思わず号泣してしまいました。

トビー・マグワイアの純朴ながら意志の強い好青年感と、マイケル・ケインの父性溢れる愛を感じる演技が素晴らしかった。まさか重要な役でポール・ラッドもお見かけできるなんて思っておらず、予想外の素敵な役に驚きです笑

淡々と進む物語や心地よい音楽、画面いっぱいに広がる雄大な自然風景などが、すごく好きな温度感の描写ばかりで、久しぶりに胸が詰まるような涙を流せた素晴らしい作品でした。
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