yaeko

8 1/2のyaekoのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
3.5

なんとなく、ぼんやりと、ストーリーは分かるんだけれど、
これは何を示しているとか、何を言おうとしているとか、わたしの感性ではまだまだ拾えなくて、
シンプルに、ただ観ていた、だけの映画になった。
感覚としては『NOSTALGHIA』を観た時に近いけれど、まだこっちのが寄り添える部分が多いかなあ。

こんな表現とか描写で、暗中模索というか、混乱とか葛藤とか、或いはもういいやって振り切れて大円団、っていう変遷を観客に伝えるってよく考えたらすごい。
ただの短いエピソードとか、映像が延々と続いていくだけなのに。
現実なのか妄想なのか、次々と浮かんでは消えていく曖昧模糊とした思想のような挿入があるだけなのに。
本人は口数少ないのに、周囲の人々がやたら話したがりが多いのも、カオスな雰囲気に仕立てている。

冒頭の夢の描写がかなり鮮烈で、未だに覚えている。
と思ったらその後も、夢みたいな覚束なさを観続けることになるなんて。

こんな風に、改めて、あの映画ってああいうことだったのかな、すごいなって、鑑賞後に解釈や余韻を拡げてくれるのが、実はこの映画の魅力なのではないかと思ったり。

ジャケットが印象的で気になっていたやつだったけれど、中身はめちゃくちゃ奥深いやつでした。
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