停滞

8 1/2の停滞のレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
4.0
自然的なものを感じた。
っていうのは、巧みなカメラワークでグイドを取り巻く連中を流れるように映しながら、振り回されるような様を描いているシーン、例えば色々質問が来るシーンとか女優として取り入ろうとする女性たちのハーレムとか下の階に行くのがどうたら騒ぎとかいくつかあったように思うんだけど、それが荒波に揉まれているだとか、横風に殴られているだとか、人間の手に及ばない範囲の何かに妨げられている、そんな自然のような印象を受けた。
それが最後になると、「人生は祭りだ、共に生きよう」は一つのセリフに過ぎないけど(祭りには色々なものが一堂に会するカオスな意味があるのかな?)、上にあげた自然的なものを支配、管理しようとするのでなく、その中にあるものを見つけ、余りあるものを受け入れ、相互理解・共生することで道が開けて行く、みたいな意味が自分には感じられた。
とはいうものの、人間そんなたくさん気を回せるほど器用じゃないし、かと言って一人で何かを成し遂げられるほど飛び抜けた訳でもなくて、色々と苦しんでいるあたりに人間らしさを感じる。
停滞

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