柏エシディシ

8 1/2の柏エシディシのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
4.0
生誕100周年フェデリコ・フェリーニ映画祭にて。

あほの子みたいな感想で申し訳ないのですが、とにかく今回驚いたのが画質!
むちゃくちゃ綺麗。
次々と繰り出されるフェリーニのイマジネーションの奔流に塗れるのが愉しい8 1/2だからこそ、これは映画体験を更新された。
個人的な意見では、カラーよりモノクロの作品の方が4Kリマスターの恩恵をビンビンに感じる。「七人の侍」やベルイマン作品でも、そう。
もちろん、初鑑賞時との映像技術ギャップなのだろうけれど、往年の名カメラマンがフィルムに焼き込んだ匠の業がデジタルの技術でそのポテンシャルを極限に引き出されるのではないだろうか。
モノクロームのストイックな画面が無限の色彩を想起させ、引き締まったフォルムがより際立つ。
眼福に過ぎる。

さて、映画の中身ですが……私の様な若輩者が改めて書くなんて畏れ多いw

「オールザットジャズ」から「新世紀エヴァンゲリオン」最終回まで。
あらゆる古今東西の映像作品、芸術全般に今なお決定的影響力を及ぼす絶対的最高峰。
しかも、そんな仰々しさを感じさせない「男」フェリーニの至極パーソナルなあれやこれやがヤケクソ気味な笑いと、すこしばかりの哀愁を交えて綴られる。
現実と夢想が混濁としたそこには、まぎれもない「映画は夢だ。人生は祭だ」というフェリーニの哲学が、映画というものの本質が純然と存在している。

1963年。初めてこの映画を観た人たちは驚きと共に、喝采した事は想像に難くない。
映画って、こんなに自由になんでもやれるのだ!と。
柏エシディシ

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