負けたら悔しいけど勝ったら勝ったでめんどくさい色恋沙汰の葛藤描写がもうその道のプロの仕業。偶然の使い方もうまい。話も人の顔も陰鬱だしどうでもいいメロドラマながら実にまっとうな議論が繰り広げられるし音楽の使い方がクール。
熊切さんの『揮発性の女』これの影響うけてんなとか。逆に『浮雲』これに影響与えてんじゃないかだとか思えるほどに全編を覆う成瀬感。でもこんな時期に成瀬ものとか欧州で紹介されてないんですかね。それにしてもこのひとビンタ好きやなあ。
ドツボ感にカウリスマキを思うけどあっちはあのすかした感じがちと乗り切れんけど。こちらはどこか能天気でガサツなイタリアンテイスト。でも結末から思うにそれってアントニオニさんの意図するものとは違ってんだろなとも。思いながらも。