つるみん

晩春のつるみんのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.0
〝結婚〟というものは離れてくっ付くものであります。本作はそんなお嫁に行く娘と父の温かいホームドラマが展開されています。(小津監督といったら嫁入り。)

kiritoくんというユーザーの方からのオススメ作品。とても楽しむ事が出来ました!小津監督作品は自分的に埃がかぶっている作品で、だいぶ久しぶりに観賞いたしました。非常に奥深く人間味溢れる作品に仕上がっていました。〝秋日和〟の父親バージョンといった感じなのですが、今の僕が観賞すると〝秋日和〟も変わった印象を受けるのでしょう。〝秋刀魚の味〟〝東京物語〟も再見してみます。(題材ほぼ一緒なんだけど笑)

これは日本人だからこそ見て欲しい作品の1つであります。日本の美意識というものが確立されているのです。和室の部屋、着物の帯、風呂敷、下駄。そして追い討ちをかけるかのような伝統芸能である能。十分、日本らしさを重視しているのと同時に当時の生活風景を彩っていました。

出てくる会話はごく普通の一般家庭の台詞ばかり。特に格好つける事もなく平凡な台詞回し。ただこれが日本人の五感に染み付いていくのです。どこか懐かしさがあり癒されるのです。僕の世代からすると丁度、祖父の会話を聞いているような…。

〝結婚〟というのが話の軸ではありますがその本質は〝幸福〟にあるのです。それは「結婚しても必ず幸せになるとは限らない。」という笠智衆さんの台詞にもあるように〝幸福〟をどう掴み取るのか。そうすれば自ずとこの作品の本質が見えてくるでしょう。

小津監督作品で父娘シリーズはこれが最初になるそうですね。〝麦秋〟は観ておきたいですね。
個人的に〝東京物語〟より〝秋日和〟より好きな作品でした。
つるみん

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