月うさぎ

ミッション:インポッシブル3の月うさぎのレビュー・感想・評価

3.3
ミッション・インポッシブルの2が好きな人と3が好きな人はタイプが違うのかも。
今回シリーズ続けて見てみてそう思いました。真逆なコンセプトな気がします。

2は「チームワークじゃない」と、批判されていますが、仕事の依頼自体がイーサン単独で呼び出しがかかりますし、助っ人はあくまで助っ人。闘いもイーサンと敵のタイマンがほとんど。あれはヒーローものなんですよ。

本作3は団体戦でドンぱちやります。最初から最後まで銃撃の嵐と爆発。何が起きているのかよくわからない。音は派手だけど。撃たれた!ってアクションと会話でわかったけど、絵としては誰にどう撃たれたのかよく見ていても全くわかりません。
ルーサーは天才ハッカーなのになんで現場で戦ってるの?なんで水に潜ってるの?
コンピュータ操作ではなく、電脳戦車を操縦してる。なんだかゲームセンターみたい。
みんなで戦ってるからチームワークなのかというと、私はそう思えなくて。
「オーシャンズ11」みたいな役割分担が綺麗に分かれてるのがチームワークだと思う。みんな一緒に撃ちまくり撃たれまくり。それはスパイじゃない。テロか戦争だ。
犯人を奪還されてしまうシーンではモロに戦争もの。戦闘機で銃撃されてたもんね。
これはやはりスパイ映画ではないです。
秘密裏に工作し、敵をこっそり出し抜くのが渋いんじゃないですか?なんですか?白昼堂々と市民を巻き込んで?橋をぶっ壊して?敵は巨悪だといってもテロリストの親玉ではないんですよ。死の商人でしょう?
 
イーサンが妻を迎えて、スパイが家族を持つことの困難をテーマにしているのは悪くないです。
しかし家族を守るために単独行動をし、国家に背き、結果敵に利する事になるって流れも、原因は挑発され激情にかられてキレたから、というスパイらしからぬ行動はイーサンらしくない。
で、派手に戦闘してる場面、意外に記憶に残らないんですよね。
この映画で一番見応えがあるのは、妻のジュリアが一人で慣れない銃を握りしめて敵を倒す所。あれは感動しました。
やはり人間の芝居なんですよ。心に残るのは。

この映画でハラハラして楽しかったというのはもちろん悪くないです。でもそれならジェットコースターでもお化け屋敷でもいいじゃん。
映画のトキメキや記憶の残り方ってもっと上質だと思うのです。

トムの真剣なリアルなアクションも映像としてすごく良く撮れていたとも思えないんです。
車に轢かれそうな場面とかも、ホントならもっとスリリングなはずなのに、指をさしてる野次馬とか映しちゃってどことなくギャグっぽい感じで間延びしてましたし。
ラビットフットも盗み出す苦労はしてないですよね。侵入と脱出が難しかっただけで。肝心のラビットフットがまた、見た目おもちゃみたい、途中ゴロゴロ転がってたし、貴重品をあんな扱いで大丈夫なのかと思いましたよ。結局なんだか正体はわからないで放置プレイでしたね。

鮮やかに蘇る美しいシーンがない結果、この映画があまり記憶に残っていなかったんだとわかりました。

いや、殺された女の顔だけはかなり記憶に残ってたかな。あまりに人形臭くてね。
月うさぎ

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