ランボーといえば言わずと知れたシルベスター・スタローンによるアクション映画シリーズであるが、その第１作目はアクション映画の枠組みの中でベトナム帰還兵の悲哀を鋭く描く非常に含蓄のある作品である。
ベトナム帰還兵であるランボーをアンチヒーローとして描く本作は明らかにアメリカンニューシネマと地続きの質感を持った映画であり、密林の中で装備と数で勝る相手にゲリラ戦で抵抗する主人公はベトナム戦争の反転としてみることができると思う。
寡黙な主人公が「まだ何も終わってなんかいないんだ」と叫ぶのはその言葉とは裏腹に多くの人々にとってのベトナム戦争の時代が終わりつつあったことを暗示していて、だからこそ時代に捕らわれ取り残された男のやるせない感情がうまく表現されているように感じた。
