佐藤でした

遠い空の向こうにの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

遠い空の向こうに(1999年製作の映画)
4.3
1957年にロシアが打ち上げた人類初の人工衛星スプートニク。ヴァージニア州の小さな炭坑町からその飛ぶ姿を見た高校生ホーマーは、友達3人と共にロケット作りをはじめる‥。
NASAのロケット・エンジニアのホーマー・ヒッカムによる自伝をもとにした作品。

わかっていながら結局泣いちゃう一作。

「世界中の人があの時、同じものを見たんだよ!僕のいるコールウッドは陸の孤島だと思っていたけど!」と興奮するホーマーの目の輝きは、炭鉱夫になることが約束された町で、消えかける。

炭鉱の問題だけではない。長さ50cmほどのロケットでも、元々は鉄の筒。実験を繰り返すたび高く飛ぶものに改良されるが、落ちる場所も大きな問題となった。

このロケット作りを通して彼ら“ロケットボーイズ”が注目されるきっかけとなった「サイエンスフェア」という大会は、中高生が自由研究を発表する場で、校内・地区・州・国と勝ち進むと、研究資金や奨学金、入学資格などが獲得できる。
以前読んだジュディ・ダットン著「理系の子」という本は、まさにホーマーのような理科オタクたちを追った記録だが、金額の大きさや競争させるやり方はまさにアメリカ的で素晴らしい教育だと思った記憶がある。
ホーマーが“サイエンスフェアの優勝者”と思うと、家族やまわりの理解を得る努力の他に、途轍もない研究数と、希望を絶やさない情熱があったのだろうなと思う。

とは言え、何より今作は“生きる道の選択”がテーマだろう。炭鉱夫という危険な仕事に情熱を注ぐ父親と、宇宙に憧れてロケットを作る息子。職業に格差なんて無い。好きなことに情熱を注ぐこと、命を懸けることに変わりはない。二人は確かに親子だ。
佐藤でした

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