イチロヲ

マゾヒストのイチロヲのレビュー・感想・評価

マゾヒスト(1985年製作の映画)
3.5
外科手術の失敗をきっかけにサディストへと変貌を遂げた主治医(野上祐二)が、古い病棟にて看護婦(小川美那子)への性的虐待を繰り広げる。主治医に隷属している看護婦の奇妙な性生活を描いている、日活ロマンポルノ。ビッグバン製作。

心に深い傷を抱えている主治医に同調するかたちで、看護婦がマゾヒストへと変身していく。看護婦側が自由意思のもとに「隷属の歓び」に気づいていくところが斬新だが、冒頭部からすでに「出来上がっている状態」なので、心の機微を楽しむことはできない。

前半部、主治医が新患者に対してサディスティックに診療する場面が笑いどころ。後半部になると、正気に戻った主治医と、正気に戻れない看護婦のドラマへと転調。両者の倒錯関係をラストに向けて集約させていく語り口が巧い。

ロマンポルノが提起してきたサドマゾの物語が、とてもシンプルに纏められている。主人側に変化球が付けられているところも好印象。
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