M少佐

炎628のM少佐のレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
5.0
 制作国、旧ソヴィエト連邦。

村にナチスドイツがやって来た。
彼らには見分けが付かなかった。
ドイツ軍には陸海空の他に第四の軍隊とも言うべき、武装親衛隊と言う軍事組織があることを。
その中に殺戮だけの為に組織された部署が存在することも。
祖国を裏切りドイツ人の走狗となり、同胞を殺すことも厭わないソ連人が居ることも。
始まりは些細な事だった。
ただの事務的に時に楽しく、暴虐と殺戮が始まった。

ナチスドイツ武装親衛隊=ヴァッフェンエスエス。
その中でも特に悪名高いアインザッツグルッペンの活動を描いています。
とにかく、人間は何処までも残酷になれる、慣れる、馴れる。
どのシーンも台詞も全く救いがない。
制作ソ連なので過度のナチス憎しな映画を想像しがちですが、淡々とドキュメンタリーのように描かれていて、余計に恐怖を誘います。
仕事が戦争となると、何人何万人殺しても何も感じない殺戮マシーンになってしまう。
その中でも協力的捕虜=ヒヴィスの描き方は絶望を誘います。
自分の為なら同胞をも殺す。
戦争の狂気の産物です。

画面はほぼ灰色で美しいのは燃え盛る炎・・・
たぶん、一般の方が思い描く悪のナチスが全て詰まった映画です。

かなり重く陰惨な映画ですが、戦争の本質を見るには良い映画です。
M少佐

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