jonajona

リトル・ミス・サンシャインのjonajonaのレビュー・感想・評価

4.7
アメリカ的な幸福論に
一石を投じるアメリカ産映画。

アメリカ的ということはつまり日本的ともニアリーイコールな訳で、資本主義的な世界の中で求める幸せの形はあまりにも窮屈だったりする。
アメリカンビューティーでも描かれていた『上にあがらなければ』という強迫観念。誰しもが産卵期の鮎のように滝を登ろうとするがそれは必ずしも人生において必要なことなのか…日本においては『こんな田舎に村人が!?』的な番組は人気なようで度々テレビで企画される一種の典型で、それを見る時我々の内には、純粋な山奥での暮らしに対する好奇心というよりは、むしろ『都会に対しての田舎』にて『外界と通じず生きる人々』の暮らしを揶揄する影の思惑が大きいんじゃなかろうか。
また、それを揶揄しつつも情景を感じるのだろう。一度資本主義社会の恩恵を得ると手放すのは難しく、かくいう私も24時間空いてるコンビニとどこでも繋がるWi-Fiとxvideoは捨てがたい…

しかし『ほどほど』が有るんじゃないか?ということが本作のメッセージのあまりに正当な主張なのだ。例えば、家族が互いに誇りに思い励まし合える、そのくらいのことで満足しちゃっても良いんじゃないのか?という。
世間に顔向けが…一位にならないと…とにかく上に…あの輝く人のように…別ルートから本題を考えるなら、インスタグラムに象徴される資本主義的情景の幻想が巻き起こした大事件を扱ったドキュメンタリー『FYRE〜夢に終わった最悪のパーティ〜』をぜひ。
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