父母ともに癌

惚れたらあかん 代紋の掟の父母ともに癌のレビュー・感想・評価

惚れたらあかん 代紋の掟(1999年製作の映画)
3.1
大阪のやくざが東京に進出して女子大生を好きになったりして巻き込みながらがら闘い続ける話。

まずこれはもうやくざ映画では無い映画。
的場浩治演じる「役座一路(やくざいちろ)」という役が「矢買ビル(やばいビル)」なるビルを根城にしているんだけど、なんなんだろうこの青木雄二的世界観は。すごい。
で、そこからドロドロのやくざ抗争が始まるかと思いきや、的場浩司はカフェ出会った女子大生に一目惚れ、文字通り頬を赤く染めて好きになってしまう。
それからはその女子大生のことを考えてぽわあっとしてしまう日々を過ごし、その不器用なアプローチに大河内奈々子演じる女子大生も心を許していく、という。やくざ純愛ものといったような風情のある映画。
的場浩司は結婚してるってのがまたお笑いで。結婚してるやくざが女子大生にぽわあってなったらあかん。

やくざ×プラトニックな恋愛という機軸なので、ふれ幅がすごい。船の上で敵対やくざを拷問したと思ったら猫なで声で女子大生からの電話に出るというナンセンスさ。
ただ、その様子、あんまり上手くいってるようには見えない。無理してるなって感じ。上手くコメディ化できていない印象。

終盤に至って抗争が激化してくるあたりで恋愛にうつつを抜かしているぶん抗争に対する興味が薄れてしまう。

木下ほうかとか仁科貴の脇はすごくいいし、渡嘉敷勝男もふつうに演技が上手くてびっくりする、ちゃんとやくざだ。

でも変な映画な割には変に徹し切れてる訳でも無くって、なんかもっとおもしろくなりそうなのにな、という感じ。
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