電気羊

ヴァージン・スーサイズの電気羊のレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
3.6
「スタンド・バイ・ミー」は、少年時代の友情と思い出をテーマにしたものだったが、この作品は絶望した少女たちの希死念慮とその少女たちへ想いを寄せた少年たちの憧憬が描かれている。

厳格な高校の数学教師の父親と母親を持つ、女子高生3人と女子中学生2人の美人5人姉妹。
近所の男たちの間でも何かと評判だった。だが、末娘が浴槽で手首を切り自殺を企図する。
末娘のカウンセリングを行った医師から厳格な両親は「末娘の自殺はしつけが厳しすぎるからだ」と指摘され、両親もその意見を受け入れ、柄にもなくホームパーティーを主催し、同級生の男子たちを招待する。
だが、あろうことかそのパーティーの席で末娘が2階から投身自殺してしまう。

ショックを受けた両親と残された4人姉妹だったが、徐々に日常生活を取り戻していく。
両親は末娘の自殺を悔いて、ある程度、娘たちに自由を認めるようになるのだが、これが裏目に出てしまう。
ある夜、パーティーに出かけた4人姉妹の一番下の女子中学生が、彼氏と一夜を共にし処女を失い朝帰りする。
両親は娘たちが堕落したと激怒し、学校にも行かせず家に監禁し、ロックのレコードも全て廃棄処分する。
そのことを知った校長から、数学教師を解雇された父親はいよいよ意固地になっていく。

美人姉妹は、友人たちや外の世界との繋がりを絶たれあることを決意する。その決意を実行するため、自分たちに好意を寄せている少年たちに電話で家出の計画を持ち掛ける。

美人姉妹からの誘いに少年たちはすぐに賛成し、仲間の自動車で美人姉妹たちを乗せ、とある一軒家にたどり着く。
少年たちは美人姉妹とこれから楽しい日々が始まると浮かれたのも束の間、美人姉妹は全員、その家で自殺してしまうのだった。

ラストのドブ臭いにおいで充満した邸宅で開かれたパーティーは、汚れた大人の世界を描写したものだったのか。

美しい思い出は、美しいままでさらに美化され色褪せることがないんだよね。
電気羊

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