すずす

ジャズ・シンガーのすずすのネタバレレビュー・内容・結末

ジャズ・シンガー(1927年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

You ain't heard nothing yet. [お楽しみはこれからだ]の名言を生んだ、ワーナーブラザース制作、世界初のトーキー映画。

Amazon primeでの鑑賞。映像は綺麗で、翻訳も悪くありません。

ユダヤ教会の先唱役の家系に生まれたジャック・ラヴィノウィッツ、通称ロビン(ソン)。幼い頃から酒場でラグタイム歌って、厳格な父とは相容れず、遂に家を飛び出す。数年後、レストランでの歌唱が人気ダンサー、メアリー・デイルの目に留まり、巡業レビュー一座の仲間入りを果たす。しかし、シカゴで巡業から外れ、一足先にメアリーが向かっていたブロードウェイのレビュー出演が決まる。家に戻るロビン、父とまた喧嘩。
60歳の父は病に倒れ、教会員がロビンに父の代わりに贖罪の日の礼拝でコル・ニドレイの先唱を依頼するが、その日は舞台の初日で悩んだ末、ロビンは礼拝堂で歌いますが、父は他界します。後日、ブロードウェイの舞台で歌うロビンの目には涙が光っています。

映画は、基本、劇中の歌唱のみトーキー化され、それ以外はインターポーズ(字幕画面)です。しかし、ロビンがシカゴから帰宅し、母を前に『ブルースカイ』を歌い、ダイヤのネックレスを送った後、母との会話のみがトーキーとして発話されます。しかし、父が帰宅すると、また旧世界に戻ったかの様にサイレントに戻ります。つまり、映画のテーマは新旧の対立、新たな世界へ踏み出した息子はトーキーで、古い考えの父はサイレント(字幕)と云う表現の使い分けがなされています。
映画としても、ロビンが鏡の前で自分を見る場面で、合成技術が使われ礼拝場面が写されたり、工夫が見られます。

靴墨を塗って歌うのはアル・ジョルソン。 OVERTURE に始まり、EXIT MUSICで終わる映画は、ジャズシンガーという題名ですが、ジャズ風アレンジは『ブルースカイ』のみなのが残念です。それ以外は讃美歌やクラシック風の楽曲なので、ちょっと拍子抜けです。
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