このレビューはネタバレを含みます
「ジャズ・シンガー」
午前十時の映画祭「シャイン」の町山智浩氏による解説映像で、ユダヤ人×音楽家の父息子の関係という同じ題材の映画として紹介されていたので、初のトーキー映画かつミュージカル映画である本作を早速鑑賞してみた。
なんかすごく迷惑な話だったなぁ。家族の重要性を説いた話としては十分なのかもしれないけど、仕事と危篤状態にある父親との選択で迷った時に、自分が立たなければ大勢の舞台関係者にも観客にも迷惑がかかるのにも関わらず、父親(しかもユダヤ教の聖職者である父の代わりに宗教家を歌う仕事)をとるというのは現代の価値観では少し理解できなかった。宗教的なフィルターを通すとこれは当たり前なのかもしれないけど、この主人公がこれで成功を収めるというのもなんか変な話だし、舞台側の人も優しすぎないかと思う。
こういう映画では大抵毒親である父親にイライラするものだが、第三者であるユダヤ人のおっさんにイライラした。「お前誰やねん」と何度も突っ込みたくなった。そもそもことの発端もこのおっさんのせいだったし。
全体的にはすごくいい映画だったけど、主人公が選択を迫られている描写の感情移入は少ししづらかった。歌唱のシーンはすごくよかったけど。