さすらいの用心棒

エンゼル・ハートのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

エンゼル・ハート(1987年製作の映画)
3.8
失踪した男を探す私立探偵が、行く先々で猟奇殺人に巻き込まれるオカルト・ハードボイルド映画。

ずっと見たかったんだよね。
ハードボイルド小説の典型的な出だしから、悪魔教のオカルティズムな世界観に溶け込んでゆく過程が複雑なプロットに紛れていて、どんでん返しも素直に受け入れられた。ただ、勘のいい人は最初の十五分ぐらいで気付いてしまうかも知れん。
主人公を追って来た男たちは何者だったのか、という謎は解明されないままだし、真相の説明もロジックもクソもない、実にあっさりとしたものだが、足で稼ぐ捜査だとか、地道な聞き込み調査といった要素を自分は割と楽しめる人間なので、この映画に求めていた部分は充分に楽しめた。
拳銃を持たず、ケンカも弱く、軽口も叩かないのにいつもフラフラしているミッキー・ロークの探偵もいい味出していたし(鼻につけるサンバイザーはたぶん『チャイナタウン』のジャック・ニコルソン探偵へのオマージュ)、何よりロバート・デ・ニーロがハマり役すぎる。今までなぜこの役がなかったのか。
『バーディ』のような青春ものや『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のような社会派サスペンスまで多様なジャンルをこなしており、アラン・パーカーという監督は本当に器用な職人だと思う。
いつもながら、すべてOKテイクしか使用していないほど作り込んだ画づくりは素晴らしい。