櫻イミト

暴力団/ビッグ・コンボの櫻イミトのレビュー・感想・評価

暴力団/ビッグ・コンボ(1955年製作の映画)
4.0
「拳銃魔」(1949)で知られるフィルム・ノワールの重要監督ジョセフ・H・ルイスと、「夜歩く男」(1948)の撮影監督ジョン・オルトンが組んだ傑作ノワール。

ダイヤモンド刑事(コーネル・ワイルド)は、ギャングのボス、ミスター・ブラウンの捜査に手を焼いていた。さらにブラウンの情婦、スーザン(ジーン・ウォーレス)に惹かれ始めていた。そんな中、スーザンが自殺を図った報がダイアモンド刑事の元に入り急いで病院に駆け付ける。うわ言で“アリシア”と呟くスーザン。それはブラウンの尻尾をつかむ糸口だった。。。

すごく面白かった。フィルム・ノワールという言葉に抱いていたイメージが具現化したような一本だった。

全編を通して極端に照明が抑えられ、光と影で構図を決めている。男たちは闇から闇に消え、女たちは淡く発光する。悪役の手強さが良い。インテリで非情なカリスマ。だからこそ追及には困難と犠牲が伴い、物語にスリルを生む。

補聴器を使った拷問には少し不自然を感じたが、後でやってくる画期的な演出の布石だった。北野武監督にまで及ぶ無音の銃撃演出はここから始まったのかと感動を覚えた。

映像・演出とも最後まで魅力的な、”フィルム・ノワール”を象徴する大傑作。
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