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007/トゥモロー・ネバー・ダイのnoteのレビュー・感想・評価

3.9
007シリーズ第18作目。
英国戦艦が中国領海近くで攻撃を受けたが、それは中国軍によるものではなく、世界の情報を牛耳る“メディアの帝王”カーヴァーの仕業だった。軍が詳細を掴む前にいち早くこのニュースを報道したカーヴァーを不審に思った英国諜報部はカーヴァーを調査すべく007を送り込む…。

OPアクションは、ロシア国境の武器取引マーケット。英ロ共闘でミサイルでそこを殲滅しようとするが、核弾頭が存在。
ミサイル迫る中、ボンドは核弾頭搭載の機で危機一髪の脱出。

英中の緊迫の攻防が起こり、ボンドはカーヴァービル本社に潜入。
銃撃戦では携帯画面で操作するQ特製のリモコン・ボンドカーが大活躍!

この事件を調査する中国のリン大佐と出会い、ボンドは共闘。
敵に捕まり手錠で繋がれたまま、高層カーヴァービルから飛び降り、垂れ幕を破って脱出。そのまま追っ手のヘリから逃走するバイクチェイス。
超人的アクションの男女平等参画の時代が到来。

遂にカーヴァーのステルス艦の居場所を突き止め、潜入するボンドとリン。
カーヴァーの野望とは、イギリスと中国を戦争に突入させ、第3次世界大戦を勃発させ、そのニュースでメディア界を独占することだった。
クライマックス戦は、ミサイル爆破のカウントダウンが迫る中の銃撃戦と爆破!

本作のアクションを盛り上げるボンドガールは、香港のアクション女優、ミシェル・ヨー。
カンフー映画仕込みのアジアン・ビューティー。華麗なアクションが新鮮だ。

色気溢れる有閑マダムのカーヴァーの妻役、テリー・ハッチャーも、もう一人のボンドガール。
実はボンドのかつての恋人で、夫の嫉妬を買い、悲劇的な最後を迎えるのがシリーズでは珍しい不幸な女性として印象に残る。

カーヴァー役は名優ジョナサン・プライスが知的に巧演。演じたメディア王は何人かモデルらしき人物が思い浮かぶ。
ネットが普及する現在、メディア王の犯罪とは、とても現代的で新しいヴィラン像。
情報が世界を制するとは、情報戦の中で隠密行動に生きるスパイのボンドに対して「役立たず」のレッテルを貼る皮肉だ。

1人の人間が世界制服を狙う設定は、往年のムーア・ボンドのような荒唐無稽さを感じるのだが、リモコン・ボンドカーや、ステルス艦など実現しそうなガジェットにはSF感があり、荒唐無稽が未来感のように映る。
舞台が中華圏なのは、現在の中国の台頭をも予見していたのかもしれない。
何者かが陰謀企んでも、我らのボンドがそれを阻止する限り、「明日(未来)は決して死なない」というネーミング。

実はボンドは時代遅れなどではなく、未来でも活躍できるのだと訴える、未来に繋いだ一作だ。
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