富裕層・権力者やキリスト教への批判等々を其処彼処に散りばめつつも、規範や建前を取っ払った後に人の深層に渦巻く利己的な欲望なり嫉妬なりの醜い本性をシニカルな視点でブラックコメディ的に描き出す。いつものブニュエル。
人間ってこんなもんだよねって感じで貶めつつ笑い飛ばし、どんどん矮小になっていく内面としてのイメージに対して着飾ったスーツという立派な外観が酷く滑稽に映る。主人公のスーツが常に埃まみれなのも面白い。
内に閉じこもり、自分とその周囲にある狭いカテゴリー内のものだけ幸せであればいい。結局は蠍と同じ。でもそれって良いとこでもあるよね。