三樹夫

インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.6
何故リーマンショックが起こったのかという、リーマンショックまでの道程とその後のドキュメンタリーで、ナレーターはマット・デイモン。当時の関係者が次々出てきてインタビューを受けるが、わりかし誰が誰やらとなるのと、金融専門用語もバシバシ使われるので分かりやすいドキュメンタリーではないが、一応は何となくは理解が出来る作りにはなっている。

リーマンショックまで経過としては、規制緩和が行われたことにより金融機関がやりたい放題となる。しかも財務長官など政府関係者に金融機関出身者を登用するなどしたため、金融機関の暴走に政府が歯止めをかけることができず、さらに経済学者など学術界も御用学者のオンパレードで、色々なものが一体となって自分さえ金稼げりゃいいわの精神でやりたい放題やっていく。その結果、アメリカの金融機関の不正の数の多さが半端じゃないことになる上にリーマンショックまで引き起こすが、誰も罰せられることもなく、挙句の果てにそんな状況下でも多額のボーナスを掻っ攫っていく無茶苦茶な状態になる。
サブプライムローンは何かというと、冷戦崩壊で数学者や物理学者が流れ込んできて作った複雑な金融商品で闇鍋みたいなもん。色々な債権をごちゃ混ぜにした金融的なチャンポン鍋で、色々な食材をぶち込んでいるがその中に思いっきり腐っているやつがあって、食べた人が次々食中毒になっていったみたいな感じ。格付け会社がウォール街のケツを舐めて、そんな怪しい金融商品もAAAとかにしていたので、闇鍋なのにやたら食べログの評価が良いみたいなもので、被害を食らった人が多かったという結果になった。

金融機関の連中は自分さえ金稼げりゃいいわ、後はしーらないで、ゴミ商品を次々売って大金を稼いでいたわけだが、そんなに金稼いでどうするんやと思っていたらドキュメンタリー内で説明があり、金融商品を売って大金を稼いだ時に刺激される脳の箇所が、コカインをやって刺激される箇所と一緒とのこと。つまりガンギマリ状態だったみたいで、金融商品売って金稼ぐのが一種の依存症のような感じ。当時ウォール街の接待場所や稼いだ大金をはたいて遊ぶ場所は高級娼館だったようで、ここらへんは『ハスラーズ』につながる。何にせよ刺激中毒になってたウォール街の連中の自分さえ良ければいいわのせいで世界中とんでもないことになった上に、政府に入り込んでいるので誰も罰せられることもなく、大量にボーナスも貰うというスーパーバッドエンド。
当時政府内にいて現在は名門大学の教授のおっさんとかも出てくるが、言い訳と逆ギレに終始するという胸糞っぷりに、こんな奴がのうのうと経済学者やビジネススクールの校長やってんのかいという面の皮の厚さにびっくりする。
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