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ロリ・マドンナ戦争の一人旅のレビュー・感想・評価

ロリ・マドンナ戦争(1973年製作の映画)
5.0
リチャード・C・サラフィアン監督作。

アメリカの女性作家:スー・グラフトンがケンタッキー州で発生した実際の出来事に着想を得て1969年に発表した同名小説の映画化で、土地を巡って対立する二つの家族が辿る末路を過激なバイオレンスで描き出しています。

先祖代々受け継いできた牧草地を隣人のガットシャル家に買収されたことを発端に巻き起こる、牧草地の元々の所有者であるフェザー家とガットシャル家の対立を描いた“激烈・隣人トラブル映画”で、お互いに引けに引けなくなった両家が日を追うごとに対立を激化させてゆく様子をサスペンスフルに描いています。

新約聖書の“汝の隣人を愛せよ”の真逆をゆく苛烈な隣人バトルが冒頭からエンディングまで展開される異色バイオレンスで、土地の所有権を巡る行き違いを発端に、ガットシャル家がでっち上げた“ロリ・マドンナ”という架空の少女と間違えられた無関係の美少女も巻き込みつつ、血で血を洗う全面戦争へと突入してゆく両家の対立を苛烈なバイオレンス描写をエッセンスにして描き出しています。

フェザー家の家長をロッド・スタイガー、ガットシャル家の家長をロバート・ライアンが演じています。俳優のイメージそのままにいけば、スタイガーが粗暴派、ライアンが理性派となりますが、本作の場合両者とも狭量な心を崩さないプライドの高い頑固者として描かれているのが特色で、どちらかが正義または悪としては描かれていません。また、フェザー家の比較的良心的な息子を若かりし頃のジェフ・ブリッジスが好演していて、家族を巻き込んだ醜い争いを繰り広げる大人達と好対照を成しています。
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