よくぞ作ってくれたと言いたくなる王道怪獣映画なのですが、製作年代と状況証拠からみて「ゴジラ」(54年)の直接の影響下にあるのは確実でしょう。というか「怪獣王ゴジラ」(56年)の方ですね。
アイルランドの島で、謎の巨大生物が捕獲される。体長約数メートル。ロンドンに移送された巨大生物はゴルゴと名付けられ、「世界第8の不思議」(キング・コングと同じ)としてサーカスの見世物にされてしまう。しかしこのゴルゴは幼体であり、子供を連れ戻しに体長約60メートルの親ゴルゴがロンドンに上陸する。
これが大筋なのですが、冒頭で航行中の船が海が泡立つのに遭遇。島の伝説の怪物オグラ。夜中にオグラが島に上陸。大都市ロンドンで見世物にされる。博士が登場してこれは幼体であると推理。巨大な親ゴルゴの襲来。英国軍の出動と攻撃と攻防戦。親ゴルゴによる深夜のロンドン大破壊。逃げまどう市民。決死のテレビレポーター。等々、怪獣映画のフォーマットというか、「ゴジラ」もしくは「怪獣王ゴジラ」に驚くほど忠実なんです。
特にタワーブリッジや、とりわけビッグベンの時計台の破壊は「ゴジラ」への直接のリスペクトとオマージュといっても良いほどです。時計の針が11時を指していたかは忘れましたが。
洋画には珍しく、ゴルゴが着ぐるみで撮影されていることもこれぞ怪獣映画という雰囲気を盛り上げる。
そう、これは昭和の怪獣映画、もとい、女王陛下の怪獣映画の傑作なのです。
追伸1
ユージン・ローリー監督は、1953年に特撮のレイ・ハリーハウゼンと組んで「原子怪獣現る」を作ってますよね。こちらは核実験によって蘇った恐竜がニューヨークに上陸する話で、「ゴジラ」に影響を与えていることは明白でしょう。
そして今度は逆に「ゴジラ」から濃厚な影響を受けた(と思われる)本作を作っています。
影響したりされたりしながら切磋琢磨して、この路線でもっと作ってほしかったな。
追伸2
東京のビル街に大怪獣というのは見慣れた絵でしたが、夜のロンドンに大怪獣というのは新鮮な絵柄でした。
追伸3
調べてみたら、本作と「2001年宇宙の旅」に意外な接点がありました。
主役のウィリアム・シルベスターは「2001年宇宙の旅」で、月面に行ってモノリスに触れたフロイド博士だったんですね。
そして特撮監督のトム・ハワードという人は、「2001年宇宙の旅」のSFX担当の4名の1人。たしかエンド・クレジットで一枚看板で名前が出ていた!
キューブリックはこの映画を観ていて、選んだのかな。慧眼ですね。