キューブリック監督作品7作目…。
新兵たちが次々と丸坊主にされていくオープニング…。
ストーリーは…人間性を排除して殺人マシーンに作り上げられる海兵隊の過酷な訓練が描かれる前半…と、その後訓練を終えた兵士たちがベトナムに送り込まれる後半の2部構成…。
通常は規律を重んじる社会を経験し、残虐な部分は押さえつけられ、善良な側面が育まれていくのですが…今作での軍隊では、幼児退行させるような訓練を経て死を恐れない狂気と残虐性を実装させる過程を描きます…。
訓練の中で"微笑みデブ"ことレナードはパンツを足首まで下ろし、親指を口に咥え、赤ん坊のようにヨチヨチと歩く罰を与えられます…。
キューブリックの『時計じがけのオレンジ』に関しても幼児性=残虐性は強調されています…アレックスのファウルカップはバカボンパパの腹巻ではなく…今思うと…赤ん坊のオムツ!!
そしてキューブリックの作品は視覚は勿論、聴覚へも刺激的ではありますが…今作の"音"は音楽とは別にハートマンの発する罵詈雑言!! これまで観た作品の中ではコーエン兄弟監督の『ビッグ・リボウスキ』が圧倒的にお下劣ワードが満載でしたが…軽〰︎くそれを超えてしまいました…。
レナードの世話役を務めたジョーカーは唯一人間性を残したままベトナムへ送り込まれます…彼のヘルメットには”BORN TO KILL”(生まれながらの殺し屋)と書かれてあり、胸にはそれとは矛盾するピースサインのバッジ…。
上官にそのことを問われると…彼は…
“ The duality of man. The Jungian thing, sir.”
(人間の二面性。ユングの(ペルソナ)です)
これは彼が精神の均衡を保つため、つまり大人としての理性を保つための方便…。
その後、ジョーカーは戦場で旧友のカウボーイを狙撃され、仲間と一緒にその狙撃手の潜む建物内へ…そして遂に謎の狙撃手と出くわしますが…その衝撃の正体は…??
ジョーカーは大人としての均衡を保つことが出来るのでしょうか…??
♬ミッキーマウス・マーチを歌いながら制圧した戦場を後にするラスト…。不気味な高揚感と同時に戦場という遊び場で幼児化した人間の狂気…楽しい曲のはずがとても恐ろしい…。
戦争とは人間が行う異常な行動なのではなく…人間の持つ本質のひとつがそうさせている…キューブリックは戦場という狂気の世界であくまでも人間を突き放した冷めた目で見ているようです…。
エンドクレジットで流れるローリング・ストーンズの♬ “Paint it black” (黒く塗れ)…本来大切な人を失った曲ですが…子供たちが遊びながら戦場を真っ黒に塗りつぶしたようにも思えます…曲はめちゃカッコいいのですが…とことん恐ろしい!!
thanks to ; torumanさ〰︎ん ✩°̥࿐୨୧
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(おススメ頂いた順番です⋈*)