ハカタ

アマルフィ 女神の報酬のハカタのレビュー・感想・評価

アマルフィ 女神の報酬(2009年製作の映画)
4.0
TOHOクーポンのために入ったFODプレミアムの元を取るために鑑賞。
本作は36.5億円となかなかのヒットを記録しながらもかなり評判が悪く、昨今のフジ騒動もあってかなり「忘れられた映画」と呼べるような代物になってしまっている。
しかし一方で一部マニアックな人達による絶賛を集めている映画でもあり、なんといってもあのテレビ局製作のドラマ劇場版らしからぬ空気感を纏った『容疑者Xの献身』の監督とあれば気になるというもの。
という訳で鑑賞したのだがこれがなかなか面白かった。
まずどこが良いかと言われれば、何より展開に次ぐ展開で楽しませようという作り。
織田裕二演じる主人公は単なる“仕事人”以上の役割を持たず、故に余計な情緒的人間ドラマ部分が少ない。そんな中でパッパパッパと展開しサスペンスを繋いでいく。この面白さ。
次にいいのが目で見せようという演出の姿勢。冒頭数分で天海祐希と織田裕二がホテルに入る場面。ここではセリフがほとんどない。奥でイチャつくカップルと手前で物々しい雰囲気でいる主人公2人。この対比で何かが起きているらしいということを語る。後々に活かされる奇妙な虫のブローチのクローズアップも効いている。
そしてタイトルに入る瞬間のブツ切り編集の後、この時点では意味が分からない海の波の音と共にタイトルが出る…こんな見せ方があるのかと感心した。
ロケーションの活かし方もバッチリで、空撮やパニック渋滞などカネがかかってなくては撮れない上に見どころバッチリな画が多いのも嬉しい所。
退屈になりかねない会話シーンにおいても豊かな切り返しで楽しませてくれる。娘が誘拐されたと知った時の天海祐希の顔のアップを入れる編集などゾクっとさせられた。
「10万ユーロ」や「手袋」を使ったささやかなドラマ性もバッチリ心動かしてくれる。
特に好きだったのがラスト、男と女の関係になりそうな所をサラッと“仕事人”へと戻ることで非感傷的にそれを破綻させるという所だ。
確かに、割と脚本はガバガバな所はある。なぜこんな事を?結局全体像が無駄に複雑では?などと思わせたりもする。しかしまあこのくらいのガバさはジャンル映画ならこんなモンでしょ、と思うし、何よりそのどれもに画面作りやアクション作りのための意図を感じられるので許容できる。
アマルフィである意味が分からないという声もあったが…最後に一番印象に残るのがアマルフィ、中盤でラブストーリーの軸が進みそうになるのがアマルフィ、そしてラストで男と女になりかけた2人が仕事人へ戻ることによってささやかに破綻するのがアマルフィ。故にアマルフィ。それで良いじゃないか…と僕は思う。
ということで総じてなかなか面白い映画であった。
普段はあまりこういう文章を描いたりしないのだが、しかしあまりにも公的な評価と僕個人の面白さにギャップを感じたのでささやかな抵抗として書いてみた。好き嫌いは否定しないが、嘲笑されるような物でもないと思うのだ。そのギャップはは公開当時映画秘宝(的な態度)が一番強い時代だったり(今の問題とはまた別のタイプの)フジ嫌悪もあちゃんだろうと思う。時間が経った今だからこそのフラットな視点で観ればもしかしたら楽しめるかもしれない。そうじゃないかもしれないが。
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