T太郎

白い刻印 アフリクションのT太郎のレビュー・感想・評価

白い刻印 アフリクション(1998年製作の映画)
3.7
933
ちょっと主題が分かりにくい作品である。
ミステリーなのかと思いきや、物語はどんどん怪しく不穏な方向に進んでいくのだ。

犯人は誰なのだ。
事件はどう展開していくのだ。
そんな事を気にしていたら、物語はあらぬ方へ。

主人公は小さな町の警察官だ。
兼職をしているし、おクスリをやったりもするので、清廉潔白な人物とは言いがたい。
だが、正義感はある・・のか。

ある町の有力者が鹿狩り中に死亡するという事故が起こる。
猟銃による誤射だ。

主人公はこの事故の裏に何らかの陰謀があるのではと疑う。
彼はまっしぐらに真相解明に向けて走っていく。
・・と思いきや、色々脇道に逸れるのだ。

彼は離婚しており、元妻から娘の親権を奪うため訴訟を起こそうとする。

恋人との結婚も考えている。

更に、父親を引き取り同居を始めるのだが、この父親が非常に問題ありの老人ときている。

一体どの線が本筋なのか。
と観ていたら、それらの線が最後に収束してあのラストを迎えた、という感じだろうか。

主人公には弟がいる。
大学教授をしていて冷静沈着な男だ。
登場場面は少ないが、重要人物である。

主人公に先述の陰謀論を吹き込んだのはこの弟である。
これに囚われた主人公が徐々におかしくなっていき、破滅的な最後を迎えるのだ。

私はこの物語の裏回しは弟だと睨んでいる。
間違いない。
彼の邪悪な思惑が主人公をあのような状況に追い込んでいったのだ。

・・・多分。
そうだったら面白いな。
そんな感じである。

主人公役はニック・ノルティ
父親がジェームズ・コバーン
恋人がシシー・スペイセク
弟がウィレム・デフォー
という渋いキャスト陣だ。

コバーンが最低な父親役を好演している。
実に憎たらしいクズ中のクズだ。
お年寄りらしいかわいらしさなど一片もない。

私より一回り二回り三回り上の世代のおっさんは非常に困った方が多い。

飲んだら露骨にエロ親父になったり、やたら威張り散らしたり、男尊女卑、権威主義、セクハラ、パワハラ・・・
古い価値観で喋り散らすので始末に負えない。

コバーンが演じる父親はそれらの特徴が大集合したような男なのである。
プラスDVもあるし。
このコバーンの演技にも要注目だ。

さて、もう書く事はないのだが今回も締め方が分からない。
なので、あの魔法の漢字をまた使うとしよう。

         完
     (ありがとう、完)
T太郎

T太郎