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フェアリーテイルのtenのレビュー・感想・評価

フェアリーテイル(1997年製作の映画)
3.5
あらすじもよく知らずジャケ観。タイトルでなんとなくファンタジーかなと思っていたし実際子ども向けではあるんだけれど、「信じること」を優しく描き出していてとても良かった。深くは掘り下げられないけども、「妖精(幽霊)を信じること」とは何かを問いかけるような、本質的な物を含んでいる。

妖精が見えるというフランシスが嘘をついていると思っている叔母。「じゃあどうして私には見えないの?」と意地悪を言うと、「大人は信じることをやめたから」という返答。妖精も天使もそして幽霊も、信じる人にしか見えないんですよね。ときどきバカにする人たちの前に現れて驚かしたりもするみたいだけど。
「天使は存在するか?」という本が出てきますが、本当に存在するか否かは関係なくて、妖精や幽霊を信じるってすごく大事だと思うんですよ。オカルトの話ではなくてね。幽霊を信じなければ耳を傾けないわけで、もちろん彼らの声は聞こえない。だけど確かに目に見えない声というのがこの世には溢れている。何が言いたいかというと、幽霊を信じることは他者を悼み自然を尊ぶことなのだ、ということ。物語に耳を貸すことなのだ、ということ。幽霊は過去(死者)からしか生まれないわけではなく、現在や未来からも立ち現れる。彼らの声を聞き、私たちがどんな未来を作っていこうとするのか。幽霊の声を聞かなければ今ここに形あるものしか捉えることができず、過去や未来に存在するはずの事象を知り得ない。

エレシーとフランシスのように愛と喜びによって抱き留めることが叶わなくとも、幽霊を見つめるまなざしを持っていたい。映画/物語という幽霊を愛し彼らに救われてきた私は、幽霊に耳を傾け続けなければいけないな。

ビル・ナイ出てたのわからなかったんだけど、どこよ

「人の悲しみを利用して儲けようとする連中を許すわけにはいきません。でもこの子たちには愛と喜びがある」
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