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ラ・ジュテのtenのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
4.2
ようやく鑑賞。情報が回って来なかったら見逃すところだった、危ない。
「12モンキーズ」や押井守監督に影響を与えた作品というのは知っていたけど、「12モンキーズ」の自分の評価があまり高くなかったので不安と期待半々くらいでしたが結果かなり良かった。「12モンキーズ」のレビューでは「この手の作品に慣れてるからかなあ」などと書いていたけれど、元祖を観てギミックの使い古された感(この時代だと最先端)は関係なかったのだと認識できたのが収穫。
この作品ではどんでん返しのギミックは道具として、生や死の美しさをメインに立てられている。何度も邂逅することを繰り返す彼らには共有する過去も約束する未来もなく、ただ目前にある今のみを感じる。その白昼夢のような柔らかさ。確かにここにあるのに常に不確かさを内包する、そうだそれこそ「今ここ」の心地良さだった。
そして幼い私が自分の死を目撃することによって、永遠とこの生と死を一個体でループしてゆくこれから。結ばれる事なく、永遠にあの女性と出会い続ける。
悲しくて美しい夢の様だなあ。
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