クレミ

あの子を探してのクレミのレビュー・感想・評価

あの子を探して(1999年製作の映画)
3.7
「しあわせ3部作」の1作目だそうで。しあわせはちょっと言い過ぎだと思うけど。

最初の方ミンジの理解不可能でぐだぐだな行動やホエクーの問題児さにイライラしたが、物語が進むにつれ、たった10元のためにかけまわるうち変化していくミンジの心情や幼いのにたったひとりで出稼ぎに来たホエクーの不安さを感じ取れるようになり、最後の展開にはグッと来た。

貧困が原因で十分に教育を受けることができない子供達。チョークも鉛筆も満足に使えない。農村での学校の風景から、後半ホエクーを探しに辿り着いた都会の景色はまるで別世界。イイハナシダナーで終わってしまうと言えばそうなのかもしれないけど、中国における貧富の差の現状や貧困層の不十分な教育など深刻な社会問題が伝わる。「困ってるんだね!助けてあげたい!」なんていうものは貧困の中には無くて、金のやりとりが全て。それが現状だしリアルなんだろな。今はこの作品の中の世界とはまた変化しつつあるのだろうけども、中国の国民性や社会問題を感じたし、そこから自分たち日本人の生活や今の社会についても考えさせられた。
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