ろく

穴のろくのレビュー・感想・評価

(1957年製作の映画)
3.7
まず質問。警察ポンコツすぎないか。

ミステリ的には突っ込みどころ満載なんだけど(なんなんだ、この二人一役トリックは)京マチ子の愛らしさでついつい観てしまった。やめよう、これはミステリ映画でなく爆速トーキングブルース京マチ子を見る映画なんですよ。

市川崑の高速喋りは健在でそれだけでもこの映画は面白いんだけど、プラスで今回は京マチ子七変化。愉快愉快。ただ京マチ子が僕にはシム・ウンギョンにしか見えないのは許して。

そしてイケメンは船越栄二。そう、「黒い十人の女」では女たちに酷い目にあい、「最高殊勲夫人」ではいやな感じの長男役をやり「痴人の愛」では愛人に馬乗りになれるあの船越。今回もひどい役なんで見てくれ。すまん、僕が見ている映画の船越はどれもろくでもないよ。

ミステリとしては失格と言ったけれどサスペンスとしては楽しい。だって人なんか3人も死んでしまう映画なのになんともポンコツで7笑えるんだもん。サスペンスで出てくるキャラポンコツって……コーエン兄弟の映画かよ!みんな間抜け光線銃を浴びているからな。

ずっと題名の「穴」って何のことなのって思っていたけど最後のシーンで納得。ああ、そんなくすりとさせるものなのね。

問題作とかではないけど市川崑が肩の荷降ろして作ったこの作品。ふわっとした感じで楽しめました。しかし市川崑の映画ってどこを切り抜いてもオシャレなんだよなぁ。それだけでもすごいと思ってます。

追記:石原慎太郎出ています。ああ、この人はこのころからナルシストなんだねと納得。
ろく

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