ろく

おくりびとのろくのレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
3.5
母の葬儀が無事に終わりました。

実際に初めて喪主というものをやったのですけど正直悲しむよりも大変だが先に立ちますね。お金、親戚との付き合い、各種手続き。わかってはいたんですけどもう少しなんとかならないのかなぁというのが実感。

「この祭壇だと20万でこっちは40万、さらにこっちは60万になります。こちらの最上級だと120万です」父「母さんは派手なことが好きだったからなぁ。この120万で」待てぇ。金はどうするんだよ親父。「あの60万までなら出せますので」
「喪主様は花を出していただかないと」「あのいくつ出すんですか」「普通は二つです。こちらの標準のがよろしいかと。1個6万です」あのぉ、花で12万ですか。花で。
「あと位牌も作っていただかないと」「仏壇屋に行けばいいんですね」……「あの位牌」「ああこちらだと5万ですね。こっちは4万」あれこれプラスチックだよ。こんなの百均で売っているんじゃないの。アマゾンで買ったら6800円。親父、これでいいかい。「なんでアマゾンなんかで位牌を買うんだよ。おーいおいおい」泣き出したよ。わかった。仏壇屋で買うよ。あのなるべく安くもにょもにょもにょ。
父「親戚なのに香典が1万とは。俺はあんな奴だと思わなかった。もう親戚の縁を切る」「いやせっかく来てくれたんだからそれだけでいいじゃない」「お前はなんてことを言うんだ。俺はその気持ちが許せないんだ。おーいおいおい」また泣くのかよ。

正直「会」のホストで気苦労だけが付きまといますよ。お金も飛ぶ飛ぶ天に飛ぶ。母と一緒に飛んでいくよ。

だからこの映画を見て「こんな感動的ではないんだよ」とついつい斜めから見てしまっています。確かにお金がそんなにかからなければそれで感動的なんだけどお金でどうにも現実に引き戻される。これ何とかならないのかい。

それでも笹野がいった、「門」って考え方は少し刺さっている。なるほど、向こうに「行ってくる」んだね。だから自分の母も向こうで元気にしているかしらん。そう思うことで別れをしよう。

それでも来てくれた人が感動し悲しんでくれたからそれだけで良かったのかもしれないと自分を言い聞かす。喪主は悲しんでいる場合ではないんですよ(車寅次郎、喪主はつらいよ)。

※実は以前この映画を見てとても感動したのだけど(もともと滝田ファン)今回葬儀という物をやってこれはファンタジーだよと思いついつい評価を下げてしまった。すまんねえ。でも現実だからなぁ。

※当時は感動ついでにかみのやま温泉まで出向いてロケ地巡りまでした(たまたま近くまで行ったからだけど)。広末、元木の家も訪問している。かみのやま温泉では「あのおくりびとのロケ地です」とばかりに宣伝していた。当時は感動していたんだよなぁ。

※母が死んだにも関わらずこんなレビューで書いている親不孝息子です。でも本当のことなんだよ。王様の耳はロバの耳。ついでにもう一つ文句を言うとなぜ坊主に渡す金はあんなに高いんだ。そして戒名はさらに高い。戒名代と坊主代だけで俺の一か月の稼ぎが吹っ飛ぶんだけど(さらに不謹慎)。
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