歴史的な背景と、神話的なストーリーと、美しい映像と音楽が重なりあう重厚な映画。
アンゲロプロスの作品はどれも、陳腐な台詞にたよらず、映像やその雰囲気、引いて撮られた人物たちの動きや間が素晴らしい。
それはつまり、登場人物や物語のなかで起こる出来事に焦点をあてる他の映画作品とは異なり、どちらかといえば絵本に似たような世界が作り出されている、とでも言えるかもしれない。
他の作品よりも登場人物が多く、ストーリーも展開する印象があった。物語はひたすら悲しく、主人公はずっと泣いているけれど、これが神話だと気づけば見ているのはそんなに辛くないかもしれない。