田舎に一人で住む父親と都会で定職に就かずにバイト生活をしている末っ子との関係を描いたヒューマンドラマ。
脚本・監督は山田洋次、主演は永瀬正敏と三國連太郎。
永瀬正敏、和久井映見、田中隆三、原田美枝、子浅田美代子、田中邦衛、いかりや長介らが共演。
新宿の居酒屋でアルバイト生活している末っ子の哲夫(永瀬正敏)は、母親の一周忌に岩手の実家に戻ってくる。
兄弟が揃い、一人になった父親（三國連太郎）の面倒について話し合われる。
兄弟が帰った後で、父を気遣い、一人帰京を遅らせた哲夫。
東京に戻った哲夫は小さな金属加工会社にバイト先を変えるが、納品先の会社で聾唖の女子事務員（和久井映見）に一目惚れする。
父親が熱海で開かれる戦友会に出席する際に東京に立ち寄り、長男と哲夫の家にそれぞれ1泊するのだが....
作品は三部構成からなる。
その一 母の一周忌
その二 息子の恋
その三 父の上京
父親と末っ子の息子の不器用な関係が綴られている。
父親にとっては子供たちが定職に就き結婚して落ち着くことが何よりも嬉しい。
一方、子供たちにとっては、父親が安心して暮らせるように誰かが面倒を見てくれるような生活を望む。
どちらも本人にしてみれば、迷惑な気遣いである。
山田監督ならではのどこの家庭にでも生じうる田舎に残した独居老人と都会で暮らす子供たちの関係を淡々と描いている。
最後は冬の雪深い寒々とした岩手の実家で心温まるホッコリな哀愁に満ちたシーンで幕を閉じる。
2024.3 BS12で鑑賞
2021.9 BSテレ東で鑑賞
第15回 日本アカデミー賞にて作品賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞を受賞（1992年）
