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息子のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

息子(1991年製作の映画)
3.8
椎名誠の小説「倉庫作業員」をもとに、山田洋次監督が映画化したホーム・ドラマ。
岩手の田舎で一人暮らしをしている父と、都会に出てアルバイト生活をしている息子との心の交流を描く。(1991)

物語は三章に別れて展開する。
【その一   母の一周忌】
故郷の岩手から上京し、居酒屋でアルバイトをしている二男の哲夫(永瀬正敏)は、母の一周忌で帰省するが、父の昭男(三國連太郎)から、定職がないふらふらした生活をたしなめられる…。
【そのニ   息子の恋】
東京に戻った哲夫は今度は下町の鉄工所でアルバイトを始める。そして、製品の配達先(取引先)で見かけた女性、征子/せいこ(和久井映見)に想いを募らせ、彼女に会いたいがために、仕事を続けることにする。
ところが、彼女は微笑むだけで何も答えてくれない。もどかしさを感じていたが、あるとき彼女は聴くことも話すこともできない聾唖の人だと知らされる…。
【その三   父の上京】
戦友会に出席する為に上京した父の昭男は、サラリーマンをしている長男夫婦(田中隆三、原田美枝子)のマンションに泊まり、一人暮らしを心配する長男からここで一緒に暮らそうと誘われる…。
続いて、哲夫のアパートを訪ねる。哲夫は、征子を呼んで父に紹介し、この人と結婚したいと告げる…。

~その他の登場人物~
・長女(浅田美代子)
・鉄工所の親方( いかりや長介)
・運送会社の運転手(田中邦衛)
・昭男の隣人( 奈良岡朋子)

「いいではねえか。聾唖のひと。それがどうしたっていうんだ。だから、どうだってういうんだ。…」

山田洋次監督が小津安次郎をいかに尊敬しているかよく分かりますね。
山田洋次監督の家族物におけるベストといってよい。
三國連太郎はいつものアクの強い役柄と異なり、田舎者で頑固だが息子を心配する人情味ある父親をうまく演じている。
和久井映見は、柔らかい笑顔の素敵な女性を演じて好感度大。
(方言はなっていないが)真摯な永瀬正敏の言葉も心に響く。
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