コミヤ

MIND GAME マインド・ゲームのコミヤのレビュー・感想・評価

MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)
4.6
14本目 劇場6本目
爆音映画祭にて鑑賞!
日本を代表する天才アニメーターでnetflix版デビルマンを手がける湯浅政明監督初長編作品。

マインドゲームはこれで3回目くらいの鑑賞だけど、今回でやっと作品の言わんとしている事をなんとなく理解できた気がする。そのくらい情報量が多く、説明的台詞も無しに超ハイスピードで展開していくのでかなり難解。でもそれを紐解けば物凄く前向きで励まされるテーマが見えてくる。

「この物語は終わらない」という言葉で本編が終わるが、この言葉は鑑賞者に対して向けられたものであり、人生そのものが終わる事の無い物語だという意味だと思った。「20センチュリーウーマン」を見ても感じたけど人は他の誰かの影響を受けて育ち、そして今度は別の誰かに影響を与えて死んでいくものだと思う。その意味において人は物理的に死んだとしてもその精神は誰かに受け継がれる事で永遠に生き続けることになる、ということを表した言葉のように感じた。

また映画を最後まで観た上で、本作の「マインドゲーム」というタイトルを基に本作のメッセージを考えてみると、それは『人生というのは心=マインドの持ち方次第で全く見え方が変わってくる。その事を知っていれば人生は何処から何度でもやり直しがきく、言い換えればコンティニュー可能なゲームと同じである』という事だと思う。今ここからどう生きるかは自分達次第。ただ自分のやりたい事をがむしゃらにやり抜ければ可能性が無限に開かれた未来が待っているという前向きなメッセージを感じられた。綺麗事に過ぎないかもしれないけど自分はそれを信じていきたいと思った。

過去と現在、そして未来の全てへの肯定、好きな事を追求する事の大切さ、何気ないものでも愛おしく感じることのできる心。ホドロフスキー作品や「桐島部活やめるってよ」、「スーパー!」などの自分のオールタイムベストに通ずるような、自分が今後生きてく上での指針になってくれる作品を本作の主人公西と同じ二十歳というタイミングで観て心から感動する事ができてよかった。好きな事の追求に関しては湯浅監督最新作「夜明け告げるルーのうた」でもテーマになっていた。このような価値観を持つ人の作品は共通して心を動かされる。

単純にアニメーション映画として斬新で面白い。実写、CGとの融合や湯浅監督らしい自由過ぎる変態アニメーションなど最高に楽しい。また今田耕司、藤井隆、ぐっさんなど吉本芸人の吹き替えが凄く良かった。上手く無いからこそ独特の良さが出てたし、作品の雰囲気作りに凄く貢献してたと思う。
しょーもないギャグも最高!
爆音の「うんこ・しっこ・ち○こ×10、ちゅ〜」と「ラジオ持ってまーす!!」は爆笑した笑

もちろん主人公の西に最初は感情移入してたけど段々とみょんのお姉ちゃんに移ってった。家族の生活を支えるため抑圧していた自分をどんどん解放していく姿に感動した。
一応の主人公は西だけど他のどのキャラクターにも深いストーリーがあるので全員が主人公と言えるかもしれない。
ベストキャラは藤井隆演じるじーちゃん。

アニメーション映画史に残る大傑作と言っても過言じゃ無いと思う。観た後その人の人生観になんらかの影響を与えうる作品。色んな人に見て欲しい!

オールタイムベスト!
コミヤ

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