月うさぎ

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコルの月うさぎのレビュー・感想・評価

3.3
監督は苦労したんだろうな〜。前作と繋げつつも超えないといけないし、スパイ大作戦らしくしようという努力も見える。トムの無茶ぶりにも応えないと、ということもある。
この作品が一番好きという人もおられ、好みって人それぞれ。おそらく、チームプレイの復活、ロシア対アメリカの古い構造の復活、謎なハイテク小道具てんこ盛りの面白味を評価されていることでしょう。スパイ映画に戻っていた作品でしたね。
なんと言っても話題性としては最高のインパクトがありました。
世界最高層ビル、ブルジュ・ハリファの外壁をよじ登るというアクションは、高さだけでなくビル自身の個性的な外観も相まって、みたこともないビジュアル効果を産んでいました。この実写映像に驚かない人はいない!

でも、ここでしょ?ここが一番でしょ?
赤い砂漠の自然美の中に完璧な人工美の極地のドバイの高層ビル群が蜃気楼のように立ち現れる。それだけで心を持っていかれます。
全てはドバイの勝利。

これからは私が本作と相性が良くなかった理由を分析してみます。
アベンジャーズに興味ない人はジェレミー・レナーの出演でヒート・アップしたりしません。サイモン・ペッグのキャラクターが人気が出たのは結果として良かったですよ。でも本作のおとぼけキャラはそんなに良かったですか?誰に向かってウインクしてるんだ!お前はっ!って思ったし。
変装マスクも過去作で正直やり過ぎ(あんなになんでもかんでもそっくりに作れる?いつ作ったんだ?いつ持ってきたんだ?)な気は薄々していましたが、今回そこをついて思い切り否定してくれましたね。そんな簡単じゃないって。なのに敵がそれやってくるなんて…。しかもヘンドリックスがあれをやった効果が良くわからない。
ガジェットも全てがちょっとへっぽこでしたね。トムのアクションでもグラブの青ランプと赤ランプが気になりすぎてグラブばかり見てしまったわ。狙いすぎじゃないかな?
笑いネタを散りばめる必要ありますか?
クレムリンに乗り込むってのも前作意識の結果で、バチカンより難しい所はあそこしかなかっただけでしょう。ロシアのシーンは音楽の使い方といいほぼクサい演出でしたね。
ドバイの後にインドに行った事になってますがインドの風景は出てきませんでした。あれはドバイにある高級ホテルで、インドロケではないからです。物語としてインドの必然性ゼロでしょ。オーナーのキモいMキャラも勘弁して欲しい。悪いけど笑えません。
過去作と比較してつまらないお笑いネタが多過ぎです。
美貌の冷酷な殺し屋モローの登場のシーンはとても粋でしたが、蹴り出されて退場って何?あれでお終いって扱い酷いなー。
ルーサーは事件に関係ないし。ジュリアはセリフすらない。前作で結婚設定されちゃって、妻の扱いにはさぞ頭を捻ったことでしょうね。

最大の違和感はトムがやつれて見える事。
刑務所に入っている設定もイマイチだけど、頬がこけて皮膚にハリがなく、顎が細くなってるような。身のこなしは軽々だけど。今回も疾走しまくっていたけれども。
毎度の事ながらアクションに身体を張ってるトムはもちろんすごいけど、絵として、あくまでも美的感覚から言って、M:I:2のロッククライミングのシーンの壮大な美しさ、トムの上腕二頭筋におおって思ったあのポーズの緊張感と比べて、ブルジュ・ハリファのシーンの方が優っていたとは言えません。

今回はジェレミーが水平バランスを披露するお役目でした。トムの場合、手足を綺麗に伸ばして美しさをみせていた姿勢をキープしていた事を思うと、トム・クルーズの凄さがやはり際立つのでした。

そうか。私がこの映画が全体的に素晴らしいと思えないのはトム・クルーズがあまりカッコよく見えないからなのか(笑)
この映画のイーサンはチームリーダーらしい大人なイーサンです。やんちゃで突っ走るイーサンではない。
「トップ・ガン マーベリック」では、大人だけどやんちゃだった。だから♡だったんだ。
要するに、トム・クルーズのミーハーなんですね。私は。
(結論)ひたすらカッコいいトム・クルーズを観たい方のための映画ではございません。
=多分男性評価の方が高いと思われる。モテモテ・トム度がゼロです。
月うさぎ

月うさぎ