オリヴァー（ユアン・マクレガー）は父ハル（クリストファー・プラマー）からゲイであるとカミングアウトされるが、ハルは癌で亡くなってしまう。消極的なオリヴァーが最期に父が人生を楽しむ姿を見て、パーティーで出会ったフランス人女優アナ（メラニー・ロラン）と付き合い始め、お互いに親に対する複雑な感情を抱く2人は少しずつ前に進み始める。
不器用な普通の人間たちが、本当の自分を見つけ出そうと一歩ずつ前に進んでいく物語。
風変わりな母親に育てられたオリヴァーは、親の不仲や精神的不安定が自分の恋愛観にも影響していることを自覚している。それはアナも同じだ。そして、世の中の普通に無理に合わせようとして失敗する。
でも、人それぞれに付き合い方もペースもあって、それを晩年に大きな一歩を踏み出した父ハルの姿によって思い知らされるのだ。
まさに多様性や寛容であることの豊かさを優しく描いている。
出演者の演技がすごくいい。
ドラマ「ER」で超二枚目だったゴラン・ヴィシュニックのゲイっぷりもいいし、「グランド・イリュージョン」などよりも前のメラニー・ロランがとても可愛い。
だが、なんといってもクリストファー・プラマーだ。
かつての「サウンド・オブ・ミュージック」「ハノーバー・ストリート 哀愁の街かど」などの凛々しい姿も良かったが、昨今の「インサイド・マン」「しあわせはどこにある」「ゲティ家の身代金」「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」での名わき役ぶりと重厚感には圧倒される。
