かめの

犯罪河岸のかめののネタバレレビュー・内容・結末

犯罪河岸(1947年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


気軽な気持ちで観たが、意外にも脚本がよく練られていて面白かった。

見終わって一番後に残るのは、ジェニーとモーリス両者の事情を知る女性写真家の存在。

最初、ジェニーからモーリスとの関係を疑われていて、途中モーリスを誘惑するような素振りもみせるため、やはりジェニーの勘が当たっていたのかと思う。

が、警察に疑われ、神経衰弱となったモーリスを見ていられないと、自首を決意したジェニーを止める彼女に、初めて違和感を持った。普通、モーリスを愛しているのなら、彼を苦痛から解放するためにジェニーを自首させるのではないか?と。

しかし、この謎も刑事との会話で解き明かされる。彼女が本当に愛していたのは、ジェニーだったのだ。

殺人事件を中心としながら、ジェニーとモーリスの関係を描くだけでなく、女性写真家の複雑な心情、強引ともみえる刑事の愛情深い一面をみせるなど、多面的に物語を膨らませているのが凄い。

それに、真犯人がほぼ物語に関係ない、他愛のない人物というのもよい。意外性を追い求めて、真犯人が実は女性写真家だったらどうしよう、と思ってみていたが、良い意味で裏切られた。
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