みんと

処女の泉のみんとのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
4.0
イングマール・ベルイマン監督が、黒澤明監督の『羅生門』に影響を受けて撮り上げた人間ドラマ。
中世の北欧伝説“ベンデの娘“を女流作家イサクソンが脚色し、ベルイマンが演出にあたった世界的名作らしい。

中世スウェーデンの田舎を舞台にキリスト教徒の少女に起こった不幸な悲劇と、その父親による激しい復讐を描いた作品。
今作も宗教色が強く、こ難しくて高尚なイメージ。
ただ、ストーリー自体は至ってシンプル。そして映像はと言うと、今作もまた神々しさすら感じるモノクローム美。
北欧の自然を映し出す光と影のコントラスト、湧き出る泉なんて見事に浄化されそうなくらい美しい。

悪気の無い無垢さは、逆に周囲の心を逆撫でする無自覚な罪と表裏一体。
汚れなき処女性の白、猜疑心や嫉妬心の黒、更には聖性と俗性と言った明瞭なコントラストが作品の輪郭を解りやすく引き締めていた。
個性的なキャラクターの放つ個性と演技力も素晴らしかった。
とりわけ、怒りに駆られた父親が葛藤を抱えながら復讐を断行するシーンが圧巻。

何れにしても自分の中の信仰心の欠如を感じるなぁ。
勿論、頭では理解出来る。けれどストンと心に落ちて来るかと言うと…

今作もまた“神の不在”がテーマのひとつだけど、どうしようもない時だけ都合よく神を頼り感謝してるようじゃ当たり前だけど。笑

とは言え、神の存在抜きに捉えたとしてもしっかり考えさせられる意味では面白かった。
みんと

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