わさび

奇跡の人のわさびのレビュー・感想・評価

奇跡の人(1962年製作の映画)
3.8
白黒の映画を初めて観たかもしれない。
ヘレン・ケラーのお話は児童向けの本やガラスの仮面(含めて良いのか?笑)でおおまかには知っていたので白黒の情報の少なさでも見ることができたと思う。
目も耳もなに不自由ない自分が、映像が白黒だというだけで受け取りにくさやもどかしさを感じるのだから、ほぼ生まれつき視覚も聴覚も無いというのがどういうことかは本当に想像を絶する。サリバン先生の過去の回想がぼんやりとしていたのは幼少期の記憶の曖昧さの表現だと思っていたが、先生のそのままの見え方であったことにあとから気づいた。
食卓のシーンの長さに執念を感じた。あのワンシーンにあれだけの時間を割いたことで、一長一短ではいかないサリバン先生とヘレンの苦悩、ぶつかり合いの過酷さが詰まっていて、結末を知っていても最後のシーンに感動することができた。
ヘレンの母親の、子供の成長への喜びと、自分の手から離れてしまう恐怖への葛藤が苦しかった。甘やかすことと愛することは違う、厳しい言葉だが、それをぶつけることもまた愛だなと。
史実の人物を演じるにあたってプレッシャーがあったかと思うが、主演お二人の演技がとにかく凄かった。