わさび

存在のない子供たちのわさびのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.0
覚悟して観たつもりだったけど、あまりの辛さに終始息苦しい。
ゼインが布団についた血に気付くシーンから流れが察せられて胸糞悪かったけど、これでもかと次々に地獄が見せ付けられる。彼が生きているのは紛れもない地獄だ。
こんな惨状、いったいいつの時代のことなのかと思うが、劇中出てくるスマホやキャラクターのおもちゃに、これが現代で起きている出来事だと思い知らされる。
スコアは内容についてというより、映画として観たものに対する感覚でつけた。
エンドロールで主役の子の名前が役名と同じだったので気になって調べたら、彼はもともと役者ではなく、実際に劇中のような現状を生きていた少年だったと知った。また彼だけでなく、登場したキャストのほとんどが実際にそうした現状を生きていた人達だと知り衝撃。
ゼインの両親には開いた口が塞がらなかったが、法廷で母親が発した言葉も事実であって、彼女達もまた社会の被害者として認めなければ問題は進展しないのだと思う。
ラストのゼインの笑顔で、劇中の彼の表情にほとんど笑顔がなかったことに改めて気付いた。歳の離れた私の弟は、今年12歳になる。