ぽち

オルカのぽちのレビュー・感想・評価

オルカ(1977年製作の映画)
3.2
ジョーズから派生した他の海洋パニック物とは一線を画する練った脚本が見どころの作品。

その昔劇場公開時に観た記憶があり、45年ぶりの再見となったが、驚いたことにかなり細かいところまで覚えていた。

しかしスピード感がないこととか、船や火災のミニチュアワークはさすがに今見るとチープだ。オルカが飛び跳ねる合成も浮いている。

惜しいのがオルカの生態にもう一歩踏み込んでほしかったこと。
確かに「人間以上の情報伝達を行っているかも」という設定は素晴らしく、当時としては画期的だったが、そのコミュニケーション方法を使いどのような社会を形成しているのか?精神世界はどのような発達をしているのか?まで踏み込んだら、もう2ランクは上のハードSFとなっていたのではないだろうか。

海洋パニックブームに乗って作られた作品ではあるが、その分類にとらわれずに観るべきだろう。というか、ジョーズ系のパニック物ではなく立派なSFだ。


余談。
今作は「もし、シャチの知能が高かったら」という設定のSF作品。
本当のシャチはもちろん獣であり本能がメインで生きているのは言うまでもない。
多分この設定はイルカからきているのだろう。
「脳の大きさ=頭の良さ」ではないのは当たり前だが、普通の陸上哺乳類は「脳の重さ/体の表面積」が大きいほど知能が高いらしい。ようは小さな体で大きな脳ってこと。

で、イルカだが、実は人間よりこの数字が大きい。でもこれは水中で生きるために流線型の体となり、表面積が小さくなったから。もし陸上でイルカが生活できたとすると人間より早く文明を発達させたかもしれないが、火が使えないとか広すぎて外敵が少ないとかが要因で、今でも獣のままということらしい。
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