ユースケ

ラスト・ブラッドのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ラスト・ブラッド(2008年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

押井守の弟子が寺田克也の描いた女の子をアニメ化した【BLOOD THE LAST VAMPIRE】を実写化した本作は、監督に【キス・オブ・ザ・ドラゴン】、【エンパイア・オブ・ザ・ウルフ】のクリス・ナオン。アクション監督に【龍の忍者】、【DOA/デッド・オア・アライブ】。主演に【猟奇的な彼女】、【僕の彼女を紹介します】のチョン・ジヒョン。ラスボスに【回路】、【ラストサムライ】の小雪という和洋折衷闇鍋映画。

CG丸出しの不細工な怪物とCG丸出しのドロッとした鮮血は違和感しかないし、アニメを再現したシーンはアニメより演出にキレがないし、実写化に伴って追加されたオリジナル要素(主人公の過去、ヒロインの追加、組織の内部抗争など)はハッキリ言って微妙。なによりも、主人公の根底にあるものが眷属を狩らなくてはいけない始祖の悲しみから父親を殺したオニゲンへの怒り(クライマックスでは自分を生み出したオニゲンへの怒り)に変更されてしまった事が残念。メアリー・シェリーの【フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス】の伏線は安っぽいし、ラスボスの名前がオニゲンというのはいかがなものかと思いました。

文句ばかりになってしまいましたが、主人公を演じたチョン・ジヒョンのビジュアルとアクションだけは秀逸。肩から下げていたケースを踵で蹴り上げて日本刀を取り出すシーンや大量の怪物をぶった斬る中盤のブレード&ワイヤーアクションは必見。アフロの大男の挟み撃ちに【キス・オブ・ザ・ドラゴン】を感じました。

面を打ち込まれてフラフラするヒロインに「心の声を聞け!」とアドバイスしたり、「強き狼となれ!」とチームの合言葉を叫んだり、間違った剣道を指導するワン隊長ことコリン・サーモンや忍者をぶった斬る倉田保昭など、世界が求める日本の姿も要チェックです。