うさどん

張込みのうさどんのレビュー・感想・評価

張込み(1958年製作の映画)
3.5
本日の巣ごもり鑑賞。
原作:松本清張×脚本:橋本忍×監督:野村芳太郎の最強チームが結成された第一作。(音楽:黛敏郎というのもすごい。)

元恋人のところに立ち回るかもしれない殺人事件の共犯者を、刑事二人がひたすら張り込み尾行するだけの地味で単純なストーリーを、カメラワークと計算された脚本、モノクロ画面と音楽で、緊迫感の続く作品に仕上げられている。

ただ、何と言っても本作の見どころは、オープニングの張り込み先の佐賀まで、横浜から「特急さつま」に乗り込み向かう真夏の列車の旅。

長距離の国内列車ドラマとして物語が始まり、観る者の気持ちを盛り上げるが、列車が東京・鹿児島間を「特急さつま」の名前で走っていたのは本作撮影時のわずか2年間のみ。 
その後は九州内だけの運行となり、本作のオープニング映像を観るだけでも、この作品の素晴らしさと強運を感じることができる一本。