うさどん

卍 まんじのうさどんのレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
2.9
本日の巣ごもり鑑賞。
谷崎潤一郎原作、1964(昭和39)年当時としては同性愛はスキャンダラスな話題で、映像化も観る側もかなり力が入っていたのだろう、と端々で感じる作品。

当時は、撮る側、演じる側、観る側も皆、罪悪、背徳の恋、眉をしかめる三角関係として撮り、演じ、観ているが、仮に今、この谷崎文学を撮ると、もっと爽やかに美しく、そして軽く描けるのかもしれないとも感じる。

稀代の悪女を演じる若尾文子、確かに美しいけれど、髪型、メイク、ファッションがやはり昭和ど真ん中、「女を男を次々と手玉に取る見た目どおりの悪女」としか映らず、小悪魔的な清純さや妖しさが醸し出されていれば、もう少し谷崎ワールドに近づけたのではと少々残念。