Denkishino

U・ボートのDenkishinoのレビュー・感想・評価

U・ボート(1981年製作の映画)
4.3
潜水艦の有名映画。多分、皆さん一度は何処かで聞いたことのあるテーマ曲。

駆逐艦からのソナー音は恐怖に尽きますね。艦の軋み、水圧の恐怖。でもゴツゴツとしたアナログな艦内には、なぜか愛着が湧きます。Uボートは第二次大戦初期には猛威を振るい、特にイギリスに対してトラウマを与えるほどの戦果を挙げました。しかし後には対潜水艦の策を練られた上、新型レーダーや駆逐艦の探知能力の向上で、ほぼ無力化されるという始末。無力化されているとわかっていても、その分の手数がほかに回るのを防ぐため無謀にもUボートは出撃、撃沈を繰り返したようです。結果、映画冒頭のテロップにある「4万名のうち3万名は帰還しなかった」という惨事になってしまったのです。2014年の映画「イミテーションゲーム」ではドイツの暗号機エニグマを解読するに至るイギリスの様子が描かれていますが、Uボートの出撃打診や位置などはエニグマ解読の成功によってダダ漏れだったようで、その雲行きが窺えます。

本作では、主に艦内と乗組員の様子が描かれていますが、これがなかなか。艦内セットも凝っていて素晴らしい。空爆シーンなども迫力があります。
何より乗組員一致団結で、艦長もカッコいい。舞台が閉鎖空間ですから、乗組員とのイザコザなどをつい多めに盛り込みそうですが、海中の静寂の不安と恐怖に耐えながら、数多の苦難を乗り越える様は大変見応えがあります。ラストのなんと呆気ないバッサリとした感じが、解放感からのその結末の余韻に浸ってしまいます。

今や、自衛隊最新のそうりゅう型潜水艦は深度700メートルも潜れ、潜行したまま3週間保つという機能。アメリカの原子力潜水艦に至っては、海水の電気分解で酸素を取り込めば数ヶ月の潜航が可能という化け物ぶり。
変な感じではありますが、潜行速度を早くするため人が艦首へ走って、重心調整させたりだなんていうアナログなほうが、映画になるんですよね…。
現代戦ならミサイル撃って撃たれて終わりなんでしょうか、やはり。

しかし、食事のシーンほんと多いなぁ。でもその食事の様子で疲労、焦燥感が増していってるのがわかる演出はうまいところですよね
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