広い海

英国王のスピーチの広い海のレビュー・感想・評価

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
5.0
一言でこの映画を言うなら
【負け犬達の敗者復活戦スピーチバトル】

観る前の感覚
【感動作って言っても、イギリス王室の話だし、なんか敷居高くね?】

観た後の感想
【高貴な方の話の皮を被った、負け犬達の敗者復活戦!!繰り返し観ることで発見がある奥深い感動作】

総合評価点【95点】

私も人に勧める関係で、この作品を繰り返し観たのですが、一回観たときに見落としてしまった事や、
伏線の張り方が巧妙で、何度観ても面白い作りになっています。
内容は、映画「ベストキッド」の、スピーチ版と言えるような作品で、
イギリス王室とは言っても、子どもの頃から様々な精神的なトラウマを抱えた結果、その歪みとして吃音が治らないジョージ六世が、
王を王とも思わない一見無礼な、スピーチ矯正の専門家ライオネルと、心の交流やケンカをしながら、
スピーチを鍛え、そして同時代の最大最強最悪の敵である、世界史の中でも屈指の演説の名人である、ナチスドイツのヒトラーに対して、
立ち向かうために、イギリス国民を一致団結させるスピーチに挑む!という話です。

これねえ、たとえ吃音で無い人間でも、人前で話すことがなれている人間でも、
ヒトラーと演説対決をするなんて、誰でも嫌になり、逃げ出したくなりますよ。

まして、これがジョージ六世が、本当に可哀想なくらい、子どもの頃から兄や乳母にいじめられてきたという人物であり、
そしてジョージ六世に、スピーチを指導するライオネルも、免許も無く、資格も無く、経験や実績はあるけれど、
やり方は我流で、むしろ言語教育の世界の主流でなく傍流にいる人物であり、
この二人の負け犬達が、互いを理解し、王と平民ではなく、対等の友として力を合わせて立ち向かう展開が、とにかく熱い!!

個人的には、ジョージ六世の吃音がいつから始まったかという事をライオネルが聞き、
「生まれた時からだ」という答えに対して、間髪入れず無礼にも「疑わしいですな」とつっぱねる冒頭のシーン、
そして戴冠式の前に弱気になったジョージ六世が振り向くと、王座にライオネルが無礼にもぞんざいに座っていて、
それにジョージ六世が激怒し、ライオネルと口論するシーン、
このシーンに関しては、Netflixでスマホにダウンロードしているので、繰り返し観ているのですが、
20回くらい繰り返し観ても、全く飽きないし、その都度感動させられます。

人前で話すことが苦手な人にとっては、かなり共感が出来る作品であり、
そうでない人にとっても、観ていないと人生損をしている、そんな思いにさせられる作品です。
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